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マスマーケティングは終わった?

 

実際広告費は減っているのか?と言えば、減ってない様です。

電通が毎年発表している「日本の広告費」によると、2012年の総広告費は5兆8,913億円で、前年の103%と5年ぶりに前年を上回る結果だったという事です。

広告費内訳 

体感的に分かる事ですが、その中でもネット広告が前年比108%と大幅に伸びています。代わりに紙媒体(新聞・雑誌、等)は、苦戦していますね。

 

 

とまあ、真面目に書き出しましたが、私の専門は「マスマーケティングの在り方」について、もっともらしい事を言う商売したことない教授や学者さん達とは対極なので、マクロの流れについてはこの位にしておきます。(でも「既に起きている現象」を分析するだけの人たちを何で有難がるんでしょうかね・・・余り言うと悪口になるので止めておきます)

 

この辺の詳しい話は画像の引用元である記事を読んで下さい。

 

個人的に気になるのは、かつて「マスマーケティング」と呼ばれていた手法が、実はかなり緻密なダイレクトマーケティングに近い形になっているのではないか、という事。そして、逆に中小企業のマーケティングの方が、マスマーケティングっぽくなってしまってる事例を多く見かけることです。

 

 

「オレは興味ないけど・・・」 でも儲かってる業界

 

冒頭の写真。

 

あるコンビニで撮ってきたものです。気付けば、プリペイドカードの種類も多彩になっています。「いつの間に?」って正直感じました。特にモバゲーなんてのは、補充してもすぐ売れるんでしょうね。かなりの厚さでストックされてました。

 

で、あなたの周りにどれ位います?モバゲーに熱中している人?

 

私の周りには殆どいないんですよね。私自身もやったことないですし。でも、TVでは盛んにCMやってますよね?モバゲーに限らず、アメーバとかも。最近、ホントCM増えたな、って感じます。

 

自分には興味がない分野でも、もの凄い広告費がかかっていて、それに見合う収益を上げている業界は実は結構あります。携帯ゲームなんてのは、その典型かもしれません。パチンコのCMも地方に行く程、よく目にします。ゲーム・パチンコ・消費者金融、この三点セットはかなりの広告費を使っていますよね。

 

このいずれにも「興味ない・関心ない」という人は多くいることでしょう。でも、これらの業界は、いわゆる「マスマーケティング」の手法で多くの層に届く様にプロモーションを行っています。これはつまり、既にマスマーケティング自体が、かつて定義付けられていたマスマーケティングとは違っている事を意味します。確実に響く層に対して、マスの媒体を使ってリーチしている。ターゲットは明確。そして関係ない人はスルーしてね、ってとこでしょう。

 

好きな人には申し訳ないですが、私には興味を惹かれる要素が一つもないのでスルーしてますが、多分、広い視点で見れば、私がスルーされている方なんでしょうね・・・

 

 

 

何を言いたいの? 誰に?

 

逆に、中小企業のHPやチラシ、DMなどで良く目にするパターン。「誰に対して」「何を」伝えたいのかがサッパリ分からないモノが多過ぎます。しっかり考えて作り込まれているモノが増えてきた反面、「新規オープン!」と大々的に謳ってメニューだけ羅列する飲食店や、「オータムフェア!」という何を言いたいのか分からないキャッチに多くのスペースを割くチラシなど・・・

 

「出来るだけ多くの人に知ってほしい」というのは正直な気持ちでしょう。でも、情報は「多くの人に届けよう」とすればするほど、誰にも届かないモノです。

 

以前、「自転車に乗る人にとって、ずり落ちず使い易いバッグ」を売りたいという方がいらっしゃいました。まだ売り始めだけども、評価は中々いい。だからネットショップを作って・・・という話から始まりました。ただ、評価がいいと言っても、仲間内だけのものです。10人未満。十分なテストが出来ていない中で、ネットショップを作り込もうとしていたので、「ちょっと待て」と。

 

ネットでショップを開いたからと言って、お客さんが大挙して押し寄せる事はありません。余程仕掛けていかないと、そして広告費もある程度使って行かないと、集客は難しい。信じがたい事ですが、ネットでショップを開けば売上が上がると思っている人は、あなたが思うよりも実際はもっと多くいます。それこそ、悪質な業者のカモになるだけなんですが。

 

だから、そのバックを売りたいと言ってた方には、まず「駐輪場に行って下さい」と伝えました。手配りでチラシを渡すなり、カゴにポスティングするなり。アナログでいいから、まずは「ターゲットがいる場所」へ行って、そこで集客した方が早い、と。

 

中小企業や個人事業には、豊富な広告予算がある訳ではありません。だからこそ、1円も無駄にしないゲリラ的な方法も必要です。ネット全盛の時代だからと言って、ネットが全てではありません。アナログな手法でも有効な方法はまだまだ沢山あります。

 

 

日本のティッシュ消費量は世界一

 

日本人のティッシュ消費量は一人当たり年間4.5kgで、ダントツの世界一だそうです。2位のアメリカは1.3kgなので、3倍近い量です。

 

そして、街中で配られるポケットティッシュ。年間で20億個も配られているそうです。そんなことを調べていたら、ポケットティッシュマイスターというサイトに辿り着きました。ポケットティッシュの事ばかり、かなりの情報が載っています。トップページには「このサイトはポケットティッシュを多角的に考察したサイトです」とありましたが、誰が何のために作ったのか、運営元がどこなのかさっぱりわからない不思議なサイトです。(でも助かりました)

 

話が逸れました。

 

ティッシュ配りって、もう何十年も続いている手法です。未だに無くならない。お陰で常にバックには数個ティッシュが入ってます。助かってます。何の広告なのかは見ないですが(笑)

 

でも、正確な統計は分かりませんが、色々調べてみて興味深い数字がありました。実は4%程の反応率があるという事らしいのです。マーケティングや販促に携わった事がある方であれば、4%の凄さが分かると思います。簡単に言うと、折込チラシの10倍~100倍の反応率があるという事です。(折込は1%以下の反応率です)

 

だからなんでしょうね。ティッシュ配りがなくならないのは。

 

「アナログ強し」です。

 

 

昔からあって今でもあるもの

 

ディッシュ配りに限らず、街中の「看板」や店頭の「のぼり」など、アナログな手法はまだまだ数多くあります。一定の効果があるから、今でも続いているものです。

 

ただ、その手法や切り口は、時代と共に工夫を凝らして進化し続けています。そして、アナログとデジタルが融合するような手法も多く目にする様になりました。看板や紙にかざすと、別の情報がスマホの画面に浮かび上がるAR(拡張現実)技術なども、その一例でしょう。

 

ネット広告は更に今後進化していきます。気持ち悪い位に、アマゾンから趣味嗜好を見抜かれているかの様なメールが来ますが、その精度は年々上がってきていると感じています。(正直、既に怖いレベルです・・)

 

しかし、アナログな広告・販促手法は無くなる事はありません。私たちがリアルな存在である以上、全てをデジタルで処理する事には無理があるでしょう。電子書籍が伸びてきても、紙の書籍がなくなる事もないと考えています。(個人的には小説は電子書籍向き、ビジネス書・専門書はやはり紙が向いていると感じます。読み返すのが面倒だったり、複数ページを行ったり来たりするのには、電子書籍は不向きかと)

 

 

その中で、私達が見落とさない様に注意すべきは、「昔からあって、今でも続いている手法」です。ティッシュ配りの様に、そのうち無形文化遺産になってしまうんじゃないか(んなことはない)という位長く続いているモノからは、沢山のヒントを得ることが出来ます。

 

そして、その効果を更に上げる為に、今ある技術をどのように組み合わせて行けばいいか、という事に思考を巡らせる事で、新たな、効果的な方法が見つかる事でしょう。

 

詳しい事例は言えませんが、私がクライアントにやってもらってるマーケティング手法は、結構そんな感じで、「既にある複数の要素」の組み合わせに、ネットの長所(物理的制約のなさ、複製できること、など)を組み合わせる様な形で行う事が多いです。そして、そこには、「マス」の要素も時には絡めて行います。単純に言えば、プレスリリースを用いてメディアに取材させる仕掛けを行う事などです。

 

「アナログ」・「ゲリラ」・「ネット」・「マス」これらを組み合わせてみると、結構面白い事できますよ。

 

また機会があれば、事例は紹介しようと思います。

 

 

ただ、その前に、まず考えていただきたいのは・・・

 

あなたの周りに、「昔から続いている手法」ってありますか?

 

また、

 

「効率化を追求するが故に、やらなくなった手法」ってありますか?

 

という事です。そこで導き出されるモノの中に、今、別のモノと組み合わせてみれば面白くなる事、が必ずあるハズです。そして、そこには「マスマーケティング」を活用するという選択肢も含まれるかもしれません。

 

既に定義が変わってしまった以上、ここまでが「マス」、ここからが「ダイレクト」とか、線引きをすること自体が無意味です。「効果」と「面白さ」にフォーカスした方が、絶対に楽しいハズです。

 

学者さんや広告屋さんのしたり顔の分析に惑わされず、楽しい事をやっていきましょうよ。